先日、知り合いのお母様が他界され、息子さんにお通夜のスナップを依頼された。
(お通夜で記録写真を残す一家も珍しいが。今までも何かときちんと写真記録を残す一家だったらしい。)
撮影中、レンズが壊れた。
とりあえず他のレンズも持って来ていたのでそれで代用。
レンズは、その後、
即 修理出し。
お母様はいかにも優しい方だそうだ。(直接お会いした事は無かったが遺影や、会場に並んでいる息子さんの撮ったお母様の写真が、人格を物語る)
レンズが壊れた直後、ついつい、息子さんに「実はお母様って厳しい方でしたか?」とプチパニックで質問していた私。
「いや〜、そうでもない〜」と息子さん。
普通は、そう質問されると、頭の中でちょっとした性格の一面を振り返ったり、過去の親子バトルや、人によっては「まあ、若い頃は多少ありましたが…」とか話したくなるはずだけど、そんな匂いが全く無かった。
けれど後々、色々と納得がいった。
優しい方だったんだと思う。そして、息子も写真が上手いだけに、カメラマンの私のことも、よく理解してくれる方だったのではないか?…と。
意外と修理代は安かった。
それに、私の機材の扱い方や使用頻度では、壊れるならもっと恐ろしい壊れ方をしてもいいはず。
今日、キャノン店員から、「悪いことでは無く、確実な故障です」と修理上がりのレンズを手渡され、いとおしく思う。
お母様が、一番私がよく使うレンズを、今のうちに…と、メンテ出しを勧めてくれたのかな。
(はっきり言って、ここぞという出番でこのレンズがイカれる状況を想像するだけで心臓バクバク。)
何事も無かったかのようにカメラバックに帰って来た。
今後も私は、どんな撮影であっても、誠心誠意をもって、現場に向かうと思う。